カ:あ、あのですネ、次の展開なんですが、光秀と蘭丸を討ち取った後真田さんが一人で本能寺へ行ってしまい、それを後から追い付いてピンチを助ける伊達さん、という構図はいかがでしょう?
伊:Ah? アンタなんかそわそわしてねぇか?急いでんのかよ?
片:政宗様、カプ●ン様は 政宗様と違って 暇じゃないんですよ
伊:…小十郎、さっきから俺に絡んでねぇか?
カ:ブ厚い窓にヒビが…っ!
片:めっそうもない。小十郎めも早く政宗様と東京見物したいもので

伊:小十郎っ…
片:政宗様…

伊:…その、さっきは熱くなりすぎて悪かったな
片:何をおっしゃいます。政宗様はそのままでよろしいのですよ

伊:小十郎…
片:政宗様…

カ:…

伊:これが終わったら青山付き合えよ
片:政宗様が青山など行かれたら、たちまち芸能人と間違えられそうですな
伊:…馬鹿言え。

カ:…

伊:…ま、まぁそれはいいとして。先に行っちまった真田を、後からやってきた俺様がピンチを助けるってのはいいな。あいつ前後の見境無く突っ走りやがるから、馬鹿をやりかねねぇ
カ:…
伊:だがピンチを助ける俺ってのは小十郎ん時もやっちまったネタだろ?そのへん問題はねぇのか?
カ:え?あ、お、おいしいシーンは何度やっても喜ばれるものですから、問題ないですよ!
伊:いいこと言うじゃねぇか、まさにその通りだ!
片:では最終決戦の地、本能寺本殿に乗り込んだ政宗様と真田が協力して織田信長を倒す、という構図でよろしいでしょうか
カ:はい
伊:最後の共闘シーンは一番大事な見せ場だからな。真田の見せ場も必要だろ。…よし、小十郎立て
片:は?
伊:いいから立て。お前、真田の役な
片:はぁ…
伊:この机を信長に見立ててだなぁ…。真田のピンチに俺が乗り込むだろ?小十郎ん時とは違った動きがしてぇから、あえてこう…俺が斬り込んで、低い位置から一回転して下から斬り込む!
カ:机にヒビが…っ!
伊:で、斬り上げてポーズキメたところに真田が正面から飛んできて斬り落す!
片:こ、こうですか?
伊:小十郎!半端やってんじゃねぇぞ!
片:す、すみません政宗様!こうですか?!
カ:あああっ机がまっ二つに…!
伊:更に俺がもう一閃!
カ:…床まで…
伊:で、魔王がのけぞったまま「人生五十年」とか呟いてぶっ倒れる、と…。オイ、ちゃんと見てたか?きっちり今の調子で絵コンテ切ってくれなきゃ困んぜ?
…あん?割れてんじゃねぇか、ヤワい机だな。お、床も陥没か?脆過ぎるだろ
片:又してもすみませんカプ●ン様!弁償させて頂きます!オイ、やろ…
カ:だだだ伊達軍呼ぶの止めて下さい大丈夫です!
伊:それよりコマ割だよな!
片:政宗様もちゃんと謝って下さい!
伊:ha?…Aa- 次からガンダニウム合金製の机、頼むな
カ:それよりマネキンを用意させて頂きます…
伊:よし、じゃあもう一回、今度は真剣を用意してだな…
カ:い、いやいやホント解ったんで刃物は勘弁して下さい!
伊:本当に大丈夫か?なーんか心配だな。あ、俺が止めに入るタイミングですかさずBGM頼むな
カ:…は、はい
伊:あとは肝心なのは決めゼリフだよな。…よし、忘れないうちに書いてやる。小十郎、紙と筆
片:は、ここに
カ:どこから…っ?!
伊:まず真田を助けに行く場面だよな。いや、まずはBGMくれ。テンションが上がらねぇ
カ:は、はい!

♪チャラララチャラララ〜♪

伊:いいねいいねぇ…よしこれだ。「勝手にぶっ倒れるんじゃねぇぞ、真田幸村ァ。魔王もお前も俺が倒す」どうだ?
カ:はい!
伊:あと土壇場で本殿に助けに行った俺が、魔王に向かって言うセリフも必要だよな。「魔王…? No…タダのオッサンだぜ」とかどうよ?
カ:はい!
伊:おっと…真田にかけてやる言葉も忘れちゃならねぇ。感謝してきたあいつに向かって「今は勝つことだけを考えろ!」とか言っちまう俺もクールだよな!
カ:はい!
伊:あと魔王を倒す前の言葉も肝心だな。「あんたはgaolじゃねぇ。天下への通過点だ」!
カ:はい!
片:…政宗様、そろそろよろしいのでは?
伊:ま、こんなもんか…。俺としたことがノリ過ぎちまったぜ。ほらよ
カ:はい!あ、ありがとうござい…ま…?
伊:俺様の達筆、ちゃんと解読してくれよ?
カ:す、すみません…達筆過ぎて解読出来ません…
伊:仕方ねぇな。小十郎、書き下ししてやれ
片:は
カ:す、すみません…古典の勉強不足で…
片:いえこちらこそお手数おかけします。…おや政宗様、字が間違っておられますよ?「あんたは俺が俺す」…倒す、の間違いでは?



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