−間−


松:では早速、第4章をプレゼンさせて頂きます
カ:…お願いします
松:おや、あまり顔色が良くないようですが。しかしこの朗報を聞けば回復されると思いますよ。先程、本社から連絡がありましてね。かの伝説の忍・風魔小太郎君へのオファーをやっと取り付けました
竹:やりましたね、部長!
松:彼は「伝説」という訳の判らない肩書きが付いてしまったせいで、何でも出来るキャラです。残念ながら闇属性部ではないないのですが、忍本来のスタンスとして密偵、暗殺等は訳もなくこなしてくれるでしょう。ですから今回は、金という報酬で暗殺を請け負うなんでも屋になってもらいます
カ:…もしかして政宗を暗殺するんですか?
松:それでは面白くありませんからね。風魔君を阻止しようと片倉君が立ち上がる、というスタイルがいいんじゃないでしょうか
竹:なるほど…「伝説の忍」と「竜の右目」の対決。構図としても素晴らしいのですね
カ:安心しました
松:実を言えば、伊達君の首なり手足のいずれかなりを片倉君の目の前に無造作に投げ落とせば、彼は間違いなく闇属性を発揮すると思うんですよ。ですがそれは最初にタブーと言われましたから作戦を変更しました
カ:ど、どんなふうに…?
松:人質、または六爪を私自身持って来たと偽って片倉君を呼び寄せ、長谷堂の奥まで入り込んだ時点で、実は何も持って来ていないことを明かし、風魔君に襲わせます。当然、片倉君は激怒するでしょう
カ:そうですね
松:その時こそ、片倉君の闇属性解放のチャンスです
竹:疲労困憊で理性の糸がブチ切れやすくなってますからね
松:無茶ばかりする上司と拉致されるような部下に囲まれてストレスも相当溜まってるんじゃないかね?
竹:高笑いした後、当たるを幸い次々と風魔の手練を殺戮してもらいましょうか
松:苛烈苛烈
竹:そこにすかさずBGMを流して
松:文字通り、からみつく敵を切り裂いている構図だね。オープニングが目に浮かぶようだ
カ:ま、ままま待って下さい!小十郎は敵ではなくからみつく「闇を」切り裂いてくれなきゃ駄目です!
松:風魔の手下は闇属性ばかりだろう?シーン自体を暗くすれば敵のついでに「闇も」切り裂くんじゃないか?
竹:片倉君は雷属性ですからね。剣に落雷させて帯電させれば光るでしょう。ファンタジー少年マンガみたいで見栄えするじゃないですか。フフフ
カ:駄目ですよ!片倉小十郎はヒーロー外伝の「ヒーロー」なんですから!
松&竹:…あ。

松:…
竹:…

カ:?

松:…
竹:…

カ:あ、あの…?
松:あぁ、すみません、考え込んでしまって
竹:根本から間違っていたことに気付いて、土台からの変更を余儀なくされていたところでした
カ:つまり?
松:片倉君は、闇属性にならないんですね?
カ:当たり前です!!!

松:ふむ…
竹:ふぅ…

カ:えっと?
竹:我々はずっと、片倉君を闇属性にシフトチェンジするための策謀を巡らせてきました。人質を取り、主の所有物を欲しがり、忍を放ってまでわざと怒らせたのはまさにこのためです。我々も暇人じゃありませんからね、手ぬるい挑発を繰り返したのは、わざと怒らせて片倉君の闇属性を引き出すためだったんです
松:しかし結局彼は主である伊達君を選ぶ、と。まことに遺憾です
カ:で、でもですね、ここで小十郎が闇属性になってしまったら、誰も救われないじゃないですか?!?
竹:救い
松:スクイ?スクイ…はて、縁日の屋台で金魚を捕まえるあれかね
竹:しっかりして下さい部長!それとは違います!
カ:ど、どうしたんですかいきなりボケキャラになって!?
竹:我々闇属性部にはあまりにも縁のない言葉なので、松永もちょっとトリップしてしまったようでして。…と、ともかく松永に騙された片倉君は極道のごとき殺気を発して乱心、いや風魔をめった斬りにして遁走、いやいや松永の本拠地を強襲、もとい直行という形でよろしいでしょうか?
カ:あ、はい…
竹:そうだ!自分で言っといてなんですが、片倉君だけの特典として極道のごとき殺気を発する「極殺モード」ってシフトチェンジはどうですか?
カ:いいですね
竹:集中すると自ら放電するとか、スーパーサイャ…失礼、スーパーヒーローっぽいですよね!
カ:スーパーじゃなくても構いませんが
竹:いやいや、カプコ●さんの大事な目玉商品のヒーローですから!電飾の上に電飾を盛りつけた華やかさがないと!タカラジェンヌにバックラインダンスを依頼しましょうか?!
カ:そこまで華やかでなくとも
竹:ではマツケンの腰元ダンサーズに依頼
カ:いやそれもちょっと
竹:既存のものでは面白みに欠けるということですね!? では新たに片倉君専属のバックダンサーを起用しましょう。ドリフ系ですか?ジャニ系ですか?まさかハロプロ系?ご希望通りの振付師を早急に手配…っぐはっ!
カ:だ、大丈夫ですか竹中さん!?
竹:大丈夫ですなんともありません…さぁ、どんなダンスを踊ってくれるんだい?…じゃなかったどんなダンスをご希望ですか?
カ:いやいやダンスはけっこうなので。それよりかなり顔色が悪いですよ?
竹:本当に大丈夫です。ぐほっ、で…ではどんな華やかさをご希望で?
カ:む、無理しないで下さいね?小十郎に華はけっこうです
竹:ありがとうございます。…え、では片倉君は殺気立ってるのに地味なままでいいんですか?
カ:はい
竹:片倉小十郎×(殺気+地味)=闇属性ですよ?
カ:そんな方程式ありません!
竹:おかしいね、そんなはずはないのだけれど
カ:敵が闇属性でシーンが暗くなったり、小十郎が「極殺モード」にシフトチェンジするのは構いませんが、小十郎はあくまで雷属性です
竹:つまり片倉君がほうで…ぐほぁ!!!
カ:やっぱり大丈夫じゃないじゃないですか!吐血してますよ!?
竹:キャラ病です。…そ、それより片倉君自身が放電する訳ですね?
カ:しなくて構いません。おーい、担架もってきてー



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